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  特集 IT 土工システム DREAM -2-  
  −第二東名における大規模土工の合理化施工−  
「土木施工」 第42巻 第1号(2001.1) 施工研究 より
1.TRUE (TRUck Entrance)システム
 伊佐布I.C工事への搬入土331万m3は、当該工事に近接する14カ所の他工事から行われ、最盛期には1万m3/日を受け入れる予定である。TRUE システムは、この大量かつ多種の搬入土を、ゾーニング盛土に応じて適正な盛土ヤードに効率よく配分するために開発したものである。図−5にTRUEシステムの概念図、写真−4にその稼働状況を示す。
 本システムは、最初に、切土側JVからの材料別搬入予定数量を基に、盛土材に応じた盛土ヤードを設定し、あらかじめ入場ゲートの制御盤に記憶させておく。土砂搬入用のダンプトラックは、切土側JV名・搬入土砂種別・車両No.の情報を有するIDカードを携帯しており、入場ゲートに入った瞬間にリードライトアンテナがIDカード情報を非接触で読み取り、適切な盛土ヤードを行先表示盤に表示する。この際のダンプトラックは、ノンストップであり、走行速度が約20km/h程度で入場ゲートを通過することを可能としている。読み取ったIDカード情報は、制御盤を介して通過時刻と行先情報が付加され、無線LANを通して現場事務所の運土管理サーバーに蓄積される。
TRUEシステム概念図
図−5 TRUEシステム概念図
TRUEシステム稼働状況
写真−4
TRUEシステム稼働状況・・・
ノンストップのダンプトラックに対して 盛土ヤードを指示する
 入場ゲートにおいては、IDカードの読取り不良が生じた場合を考慮して退避エリアが設けられており、そこでは再度IDカードを読み取ることができる。実運用における読取り不良の頻度は、0.5%程度である。無線LANの障害によりデータ損失が発生した場合に備えて、制御盤内部にも自動的にデータを蓄積できるように冗長性を持たせたシステム構成としている。
 なお、入場ゲートにおいては、モニタリングカメラが設置されており、これは、インターネットを介して数秒ごとに画像情報が現場事務所に転送され確認できるものである。
2.GPSG(GPS&Gyro)システム
 従来のGPSによる盛土締固め管理は、GPS単体により振動ローラの走行軌跡を求め、盛土の転圧回数を確認することができる施工規定方式の盛土締固め管理手法である。しかし、この手法では、GPS電波が欠損した場合に振動ローラの走行軌跡を求めることができなくなるため、伊佐布I.C工事のような狭隘な山岳地などで地形的な制約からGPSの受信状態が悪くなる場所では、実用的な適用が困難なものとなっていた。
 これを解決するために、GPSによる走行軌跡とは別に、3軸ジャイロシステムを用いて、振動ローラの走行軌跡を求め、GPSの受信状況に関わらず盛土の締固め管理を可能にしたのが、GPSG システムである。
 3軸ジャイロシステムは、振動ローラの3軸の姿勢角を計測する光ファイバージャイロと移動距離を計測する車速センサーで構成され、角度と距離情報から振動ローラの走行軌跡を求めている。この実用化に際しては、表−3に示す5種類の補正方法を考案して走行軌跡の精度の向上を図っている。
 伊佐布I.C工事では、4台の振動ローラが稼働しており、そのうち2台に3軸ジャイロシステムを搭載している。狭隘な谷地部での盛土においては、GPSデータが10分程度の時間で欠損する場合が多々あり、本システムの導入効果は非常に大きいものとなっている。
 写真−5にGPSG システムを搭載した振動ローラの稼働状況、図−6に振動ローラ4台稼働時の管理画面をそれぞれ示す。
表−3 GPSG システムの補正方法
補正名称  補正内容
カルマン
フィルター補正
GPSの位置座標とジャイロ・車速センサーの誤差をリアルタイムで補正
ドリフト補正 光ファイバージャイロ自体の機械的な特性で、計測時間に比例して検出角度が遷移していく現象をリアルタイムで補正
γスムージング 計器の敏感性により大きくばらつくロール角(γ)を計測値の全体的な変化を抑えて、リアルタイムで良好なデータに平滑化する処理
後進補正 後進時における振動ローラの機械的および構造的挙動により発生する誤差をリアルタイムで補正
内挿補間補正 ジャイロのみで走行軌跡を求める場合に生じるジャイロ計測誤差を、既知点情報を基に最小二乗法を適用して後処理で補正
GPSGシステム搭載の振動ローラの稼働状況
写真−5 GPSG システム搭載の振動ローラの稼働状況・・・
狭隘な山裾ではGPSが欠損しやすく、ジャイロシステムで軌跡データを取得する
振動ローラ施工規定方式の管理画面
図−6 振動ローラ施工規定方式の管理画面・・・
4台の稼働状況がリアルタイムに現場事務所で把握できる
3.GPplan (Global Positioning plan) ソフトウェア
 GPplan ソフトウェアは、GPSG システムを強力にバックアップするものであり、GPSを用いた施工規定方式による盛土の締固め管理を実現するために、GPS衛生と盛土施工領域の位置関係から、GPS衛生の捕捉状態を事前に予測するものである。
 本ソフトは、周辺地形の状態が考慮できるため、より現実に近いGPS衛生の捕捉状態がシミュレートできる。シミュレーション結果として、図−7に示すように指定した日時・領域における捕捉時間割合や捕捉衛生数をビジュアルに表現でき、GPSを用いた施工管理に障害が発生する範囲や時間帯が特定できるので、施工領域や作業方法の変更などにより、施工への影響を最小限に抑えるといった対応がとりやすくなっている。
GPS衛生の捕捉状況
図−7 GPS衛生の捕捉状況:地形を考慮した捕捉状況(左)、 指定箇所の捕捉表示(右)・・・
指定日の時刻に対する捕捉状況が把握できる
4.Vcon3D(Volume control by 3Dcad) システム
 Vcon3D システムは、1.大規模土工の品質管理や出来形管理の生産性を向上させるための3次元CADシステムと、2.DREAM システムに関わる主要な情報を一元管理するデータセンターとしてのデータベースマネジメントシステム(DBMS)という2つのパートで構成している。
 3次元CADシステムとしては、土質別の切土数量やゾーニングを考慮した盛土数量、出来形図の作成等を容易に行うことが可能となっている。盛立てシミュレーション機能として、複数の土砂搬入元から複数の盛土材料が搬入されることを考慮して、ゾーニングにマッチした盛立て位置をシミュレートして最適に施工場所を設定できるようになっている。背景情報や地形情報などについては、他のサブシステムとシームレスに連携できるインターフェイスを備えている。
 データセンターの役割を担うDBMSとしては、GPSG システムからの品質管理情報、TRUE システムからの土砂搬入情報等をデータベースに蓄積する。品質管理情報の主要情報である転圧結果情報は、盛土の施工領域を50cm四方のグリッドメッシュを単位として蓄積するため、施工エリア全体のデータ量は膨大なものとなり、DBMSを使用したデータ管理が必要である。
 データセンターに集積された情報からは、3次元CADのデータ表示機能を利用して、GPSG システムの転圧結果情報やTRUE システムの搬入実績情報などをビジュアルに表現し、管理帳票を作成する。
 本システムによる出来形3次元CGの例を図−8に、品質管理帳票の例を図−9に示す。
出来形3次元CG
図−8 出来形3次元CG・・・現在の盛土状況が表示でき、
あらゆる観点から3次元的に把握できる
品質管理帳票例(転圧回数分布図)
図−9 品質管理帳票例(転圧回数分布図)・・・
電子データ化して情報交換の効率化が図れる
5.COMweb(COMmunication web) システム
 統合情報化を実現するCOMweb システムは、最新の情報通信技術を用いて施工管理情報の受発信を行うものである。
 土砂搬入ゲート、施工ヤードおよび現場事務所は、無線LANで相互に結ばれ、さらにインターネットを通じて現場事務所とJH事務所などと接続している。本通信網を利用することによって、品質管理・土量管理・土砂搬入管理などの各種施工管理情報をシームレスに共有している。
 本システムの主な機能としては、1.現場事務所におけるGPSG システムを用いた締固め状況の把握、2.土砂搬入区域の変更をリアルタイムにTRUE システムの入門ゲートに指示、3.モニタリングカメラを通したダンプトラックのゲート通過状況の把握、4.品質管理・出来形管理・土砂搬入管理などの施工管理情報や各種計測結果のビジュアル発信が挙げられる。
 本システムによるWebにおける表示例を図−10に示す。
Web表示状況
図−10 Web表示状況(動態観測の層別沈下計位置)・・・
Webによりデータの共有化が図れる
IT工事管理
 現場事務所とJH監督員との間で日常的に取り交わされる工事管理の関係書類は、品質・工程・出来高管理のうえで非常に重要な書類である。特に、、大規模土工事では、その作成業務に費やす時間が増加し、書類の増大化と煩雑化を招くことが懸念される。
 これを解決する手段として、本システムの情報提供・交換・保存機能を利用した電子決算(承認)機能や工事施工記録の保存および検査・竣工書類の電子データ化を行い、これらのさらなる効率化を図るとともに省資源化を実現して環境への配慮を行っている。
おわりに
 IT土工システムDREAM は、現在、伊佐布I.C工事で順調に稼働している状況にある。しかし、建設現場というフィールドでIT化を図ることは、単に事務所でOA化を進めるということと種々の点で著しく環境が異なるため、当然困難性が伴うということを念頭におく必要がある。ITを真に使えるものとするためには、現場の作業員に密着したり粘り強い対応と指導、また、単に建設分野の業際レベルの技術のみに関わらず、より広い分野の知識を集約し、課題を解決していく視点を持つことが重要である。
 伊佐布I.C工事のように現場における本格的なIT活用の事例はまだ少ないが、急速な情報化社会の進展を考えると、それをどのように建設現場に採り入れ実用化するかという点に知恵と戦略および努力を傾注することが望まれる。DREAM システムにおいても、実際に利用する立場からの意見を総合的に反映させ、今後さらなるブラッシュアップを加え発展させていく考えである。
 本稿が、今後の建設現場におけるIT活用に際して、何らかの参考となれば幸いである。
  《参考文献》               
 1)日本道路公団静岡建設局:第二東名高速道路
  高盛土および大規模盛土設計施工指針(案)、
                        1998年3月
 2)日本道路公団静岡建設局:第二東名高速道路
  長大切土のり面設計施工指針(案)、
                        1998年5月
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