建機の酒井重工業

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新基準排出ガス規制まとまる
特定特殊自動車に新基準
 
 現在、環境省では、国土交通省と経済産業省との連携で公道を走行しないオフロード車両(以降、特定特殊自動車と呼ぶ)に対して、新基準の排出ガス規制を行っている。
  これは、特定特殊自動車の使用によって発生する、大気汚染の防止並びに国民の健康保護、生活環境の保全を目的としている。
 
 新たに施行される排ガス規制の名称は、「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律」であり、平成18年4月1日に公布されている。また、国土交通省では、公道を走行できるオンロード車両(以降、小型・大型特殊自動車と呼ぶ)に対して、平成14年〜17年にかけて順次排出ガスの規制を行ってきており、今回の平成18年規制においては、特定特殊自動車での排出ガス規制値と同値(表1の新基準の排ガス規制値を参照)とすることで、建設機械全体の排出ガス低減を図っている。
表1:新基準排出ガス規制値一覧
※1:19kW以下の出力範囲は、規制対象外であるがE/Gメーカが自主規制を行っている。
※2:560kW以上の出力範囲は、規制対象外であり、規制値も無い。
定格出力
(kW)
一酸化炭素CO
(g/kWh)
炭化水素HC
(g/kWh)
窒素酸化物NOx
(g/kWh)
粒子状物質PM
(g/kWh)
黒煙
(%)
〜19※1 5.00 NMHC+NOx = 7.50 0.80 40
19〜37 5.00 1.00 6.00 0.40 40
37〜56 5.00 0.70 4.00 0.30 35
56〜75 5.00 0.70 4.00 0.25 30
75〜130 5.00 0.70 3.60 0.20 25
130〜560 5.00 0.70 3.60 0.17 25
560〜※2 - - - - -
 
 図1には、特定特殊自動車に対するメーカから使用者への車両提供手順を示す。エンジンの型式指定後に車両の届出を行い、工場出荷時に排ガス適合ステッカーを貼付して使用者へ提供する手順となっている。 排ガス規制対策型車両の概要
図1:排ガス規制対策型車両の概要(クリックで拡大)
  新しい排ガス規制の開始時期と生産期限については表2に、また新規基準に適合した車両に貼付するステッカーは表3に示す。表2・表3において定格出力範囲が19kW以下と560kW以上の車両は排ガス規制対象外である。
表2:規制開始時期と現行機の生産猶予期限
※1:19kW以下及び560kW以上の出力範囲は、規制対象外である。
定格出力 (kW) 規制適用日 継続生産車の規制適用期限
〜19※1 - -
19〜37 2007年10月1日 2008年8月31日
37〜56 2008年10月1日 2009年8月31日
56〜75 2008年10月1日 2010年8月31日
75〜130 2007年10月1日 2008年8月31日
130〜560 2006年10月1日 2008年8月31日
560〜※1 - -
 法律では、規制対象内の車両には新規基準適合車のステッカー(青色)を貼付できるが、規制対象外車両と特定特殊自動車において届出以前に販売した車両については、この適合ステッカーが貼付できないことになっている。
  そこで国土交通省はこれらの車両を”超法規的遡及措置”として救い上げる為に、排出ガス対策型建設機械指定制度(3次指定制度)を利用して、3次指定ステッカー(緑色)を貼付する事ができることとした。
  特に表3では、弊社国内主要製品の車両区分(オンロード・オフロード車両)、排ガス規制対象の有無とこれら機種郡に貼付する排ガス適合ステッカーの種類を示している。

表3:酒井重工業製品における新規基準の排出ガス適合車両に貼付できる適合ステッカー
※1:大型特殊自動車はいはゆる車検取得車両である為、車検証をもって排ガス認定の代用可である。
※2:表中の機種名は現行の排ガス対策型機種名であり、新基準での機種名とは異なる。
出力範囲 小型・大型特殊自動車
(オンロード車両)
特定特殊自動車
(オフロード車両)
〜19kW
規制対象外
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小型特殊自動車 大型特殊自動車※1 該当機なし
小型特殊自動車:規制対象外 該当機なし
19〜560kW
規制対象内
画像クリックで拡大
小型特殊自動車:規制対象内 大型特殊自動車:規制対象内 特定特殊自動車:規制対象内

  今後もますます厳しくなっていくことが予想される建設機械の排ガス規制ではあるが、施工者、発注者及び建設機械メーカとの三位一体で努力することによって、施工者にやさしい建設機械を提供することができるとともに、地球環境の改善に寄与できるものと期待する。
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  世界の道路事情
  **** モンゴルの生活道路建設の支援 <4> ****
 
  「JICA草の根技術支援」の一環として、モンゴルにおける「軽交通舗装のマニュアル」づくりおよび失業者対策としての住民参加の実施工を行ってきましたので、その内容をご紹介します。

  先月号で紹介したバガヌール(ウランバートル特別区)のゲル地区で行われた試験舗装結果を基に軽交通舗装用にマニュアルを作成しました。
  今回は、マニュアル作成にあたり、特に留意した点について紹介したいと思います。
 
* * 前号(66号)のつづき * *
3.軽交通舗装用マニュアルの作成
 @気象条件について
 モンゴルは、年間降雨量が300_以下で湿度がかなり低く、また、夏は30℃以上、冬はマイナス35℃を下回るほどの寒暖の差が激しい国です。このため、この国では従来、凍結対策として路床土を良質土に置き換えています。
 A交通量と交通形態について
 モンゴルでは、両方向の全交通量を用いて設計交通量を算出します。この理由としては、対向車がない場合、上下車両ともに道路中央を通行する事(特に冬場の降雪期)が多い為です。
路床土の置換
路床土の置換
カットバックアスファルト材の準備風景
カットバックアスファルト材の準備風景
 B設計方法について
 モンゴルは従来、社会主義国家であった事からロシアの影響を強く受けており、設計方法もロシア方式を採用していましたが、現在では、AASHTO(アメリカ州道路行政官協会)のデータ等も研究されています。今回のマニュアルにおいては、両国協議の結果、日本のT法(※1)を採用しています。また、対象交通区分は旧来のL交通(※2)としました。
  表層に関しては、交通量の比較的多い箇所やアスファルトプラントが近場にある場合に用いることとし、通常は、カットバックアスファルト(※3)による散布式二層表面処理を行いました。
 C施行方法について
 ウランバートル周辺では、ほとんどの施行機械がそろっていますが、地方部では回送費がかさむことから入手が困難な場合があり、また、地元住民参加型のマニュアルを作成する事も、大きな目的の一つになっていることもあるため、人力施行方法も併記する事としました。
 Dその他
 その他の項目についてもモンゴルの実情に合わせ作成しています。また、マニュアルは英文で渡すこととし、モンゴル側が自国の言葉に変えることとしました。
 
 このようにして作成されたマニュアルを基に、本年9月12日にウランバートルでセミナーを開催しています。この内容については、次回の報告とさせて頂きます。
 
※1:T法とは、舗装各層の必要厚さを基に構造設計を行う方法。
※2:L交通法とは、大型車が100台/日未満の交通量をいう。
※3:カットバックアスファルトとは、ストレートアスファルトに灯油、軽油等の溶剤を加えたものをいう。

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