* * 前号(65号)のつづき * * |
2.バガヌールにおける試験舗装(つづき) |
A水締めマカダム道路 |
日本においては戦後、水締めマカダム路盤が多く採用されました。
この工法は大変丈夫な舗装ですが、主骨材を手均ししなければならず、機械化施工ができないため、廃れていった工法です。戦後の失業対策にはうってつけの人力工法でした。
1号砕石(60-80)を隙間のないように手均しし、マカダムローラで十分締固め、次にサイズの小さい骨材を、順に何層にも敷均します。潤滑に水を使用することから水締めと呼ばれているものです。 |
着々とすすむ舗装工事 |
Bカットバックアスファルトによる表面処理 |
軽交通を対象とした舗装であることと、加熱アスファルトプラントが国中にあるわけではないので、路盤上には表面処理を施しました。
アスファルトは比較的品質の良いロシア産を使用し、カットパック材には軽油を用いました。本来は灯油の方がよいのですが、手に入りません。現場で熱したケットル内のアスファルトに軽油を投入して攪拌する、大変荒っぽい材料調整です。
カット量はおよそOUTで20%としました(簡易の粘土計で調合)。
パインダ散布は手散布ですが、日本から持参したノズルが威力を発揮したことはいうまでもありませんでした。 |
完成した舗装道路 |
散布の方法も、基本通りに教えました。角スコップによる砕石散布は実に見事なものです。作業員は、休憩時間の間も一所懸命練習しておりました。大層うまいもので、真四角にきちんと散布します。日本でもこれだけうまく散布できるチームは、そういないのではないでしょうか。 |
C路肩盛土 |
モンゴルではどんな舗装でも、路肩盛土はしっかりやられていません。この現場でも幅1bの路肩盛土を行いました。 |
D開通式 |
私達の感覚からすると、たかだか500bの軽交通舗装ではないかと思われるかもしれませんが、モンゴルではそうではありません。
道路運輸観光省の事務次官を始め地元市長、その他大勢の人達が参集し、盛大に開通式が催されました。
ただ単に、舗装道路が出来たということだけではなく、技術指導・技術移転があったこと、住民参加の舗装道路づくりであったことがモンゴルの関係者の気持ちを揺すぶった結果だと思います。
地元にとっては待望の舗装の完成なのです。 |
多くの関係者が参加した開通式 |
後日談ですが、少ない予算をやりくりして街路灯が設置されました。そして、沿道にはレストラン、郵便局等が建ち、病院も出来るようです。道路一本が完成することにより、こんなに街が変わることに驚きと感動を覚えた次第です。
なお、盛土材の品質が悪く、水締めマカダムの工区が一部破損しましたので、今年6月に再度現場に入り、今度は補修方法を実施し、その方法を指導してきたところです。 |
酒井重工業(株)監査役 小黒幸市 記 |