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第一生命経済研究所はこのほど、2003・2004年度の改訂日本経済見通しを発表しました。2003年度予測を前回調査の実質+1.4%から+2.5%に上方修正するとともに、2004年度予測を同じく実質+0.9%から+1.8%にこれも上方修正しました。
当面は回復傾向にあるが、外需の鈍化も懸念され、充分な心構えが必要となってくると予測しています。 |
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2003・2004年度の日本の実質GDP(国内総生産)成長率見通しを、+2.5%、+1.8%とする。その理由として、@米国や中国を中心とした海外経済が、予想以上のペースで拡大していること、A更新投資が中心とはいえ、設備投資が拡大し業種的にも広がりを見せている、B予想以上に早い段階から生産活動に高まりが見られる、C雇用環境にも経済活動に見合う形で持ち直しの機運が見られる…などが上げられる。
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日本の景気循環において、外需は重要な役割を果たしている。景気と一致して推移する景気一致指数CIと輸出数量の推移を見ると、輸出数量の拡大が、景気に先行していることが確認できる(下図参照)。
しかし、両者の相関は、80年代まではそれほど高いものではなかった。ところが、90年代半ば以降のデフレが本格化してくる局面においては、輸出と景気の相関性が極めて高くなっている。これは、日本の景気循環は、外需の動向に完全に左右されているということができる。言い換えれば、内需の景気全般に対する影響力が、極めて弱くなっているということである。このため、景気は拡大に転じても、内需に牽引される本格的な回復にはなかなか至らず、消費などが盛り上がる前に、需要も鈍化すれば、たちまち回復の芽が潰えるほど、脆弱な構造となっているのである。
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今般、年金制度改革に伴い、保険料の引き上げ、あるいは国庫負担率の上昇分に見合う税収拡大措置(定率減税措置の廃止)が検討されている。また、現在の計画では、住宅ローン減税措置も規模が縮小される可能性がある。これはいずれも2004年中の実施、あるいは法案の成立を目指している。一方で、2004年中には外需の鈍化により、日本の景気は、その推進力を失う可能性が高い。
このような中で、国民負担が引き上げられるような措置がとられる、ないしは、実施されることが確定すれば、景気は再び失速する恐れが極めて高い。むしろ、外需という景気の推進力が鈍ることを前提に、それを補うような対策を検討することが必要であろう。バブル崩壊後の二度の景気拡大局面を振り返れば、景気は確かに拡大していたにも関わらず、失業率はほとんど低下しなかった。一部には、公共投資について、その中身を問うことなく一律に”ムダ”として切り捨てられている。しかし、経済的に見れば、失業ほど国内の資産を無駄にしているものはない。無論、社会的にも失業者を放置しておくことは、大きな問題であろう。来るべき外需の減速に対応すべく、失業率が低下基調に転じるまで、積極的な需要押し上げのための政策対応が望まれる。 |
(第一生命経済研究所報告から要約・転載) |
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